二つの滝を巡る古道ウォーキング – Ontake Old Trail & Sacred Waterfalls

 長野県木曽郡にある王滝村。ここには古くから続く修験者達の足跡が残っており、現代に生きる我々も、それを歩いてたどることができる。古道が続く先にあるのは霊峰御嶽山。木曽の山奥に鎮座するこの霊山は、江戸時代の後期になるまで一般民衆の目に触れることが少なく、修験道を極めようとする者達にほぼ独占されていた。

 三合目にある大又三社(おおまたさんしゃ)の階段。江戸末期になって普寬行者によって古道の一部として組み込まれた。三百八十段を越える階段の上に、三柱の御嶽大神が祀られている。

 気持ちの良い新緑の古道を歩く。熔岩だらけの御嶽山麓には、ヒノキ、サワラ、カツラ、杉などの巨木が根を張り、深い森を形成している。

 不動明王が祀られている清滝(きよたき)。登山道の脇にあり、江戸末期以降は登拝前の清めの滝として使われてきた。現在も滝行の設備が整っており、希望者は先達の指導によって滝行を体験できる。

 古道は、時として息が切れるほどのアップダウンを繰り返す。修験道では肉体に苦痛を与えることが修行の一部であったため、比較的楽な尾根道ではなく沢筋と尾根を往復するような道の付け方がしてある。

 登拝に使われた古道から少し外れたところに懸かる新滝(しんたき)。御山(おやま)への登拝の途中に立ち寄るのではなく、百日の潔斎を行うための修行の滝だ。近くには修行者が宿泊するための宿舎がある。長期にわたってここで煮炊きをしながら、一日四度の滝行を行う人を今でも見ることがある。

 その修行の滝である新滝を裏から見たところ。いわゆる裏見の滝だ。この滝の素晴らしさは、修行の目的を持って滝壺に立たずとも、近くまで寄って細かい霧状の水しぶきを浴びるだけで十分に感じられる。滝に向かって目を閉じ、深呼吸をすると、清冽な空気が全身を満たす。

2022 古道・滝巡りフォトギャラリー

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