2018年4月3日 春の訪れ – 桜とバラ

 今年は雪解けが異常に早い。例年ならまだまだ冬景色の御嶽山麓でも、道路からほとんど雪が消えてしまった。本当にこのまま春になってしまいそうな雰囲気。

 木曽地方は山に囲まれている上に標高が750メートル以上あるので、ソメイヨシノの開花がかなり遅く、青森や北海道とほぼ同じ。「桜咲いたら一年生」という一般的な季節感とは大きくずれている。だから雛祭りは4月3日、端午の節句は6月5日に行う。

 木曽町にある福島中学校のソメイヨシノはまだこんな感じ。春を感じるなあ。味にたとえると、ちょっとほろ苦い蕗の薹かな。

 これなんか本当に美味しそう。淡い緑にちょっと紅が混じっている様子が実に春らしい。これから咲くぞ、と言わんばかりのモリモリとした生命力が感じられる。
 あと数日で桜は当然ながら満開になる。満開になると、あとは散るばかりなので美しさの中に、はかなさというか寂しさがつきまとう。

 ところで、桜はバラ科の植物だということをご存じだろうか。正確に言うと、バラ科モモ亜科サクラ属である。ちょっと意外な感じがするが、そう言われて両者を比較すると共通点が多い。

 バラ科の形態的な特徴をまとめると:「花弁・がくは5枚、雄蕊は10本ないし多数あり、雌蕊は1本のものから多数分立するものまで多様。葉は単葉または複葉で根元に托葉がある」となる。

 よく見かけるバラは花弁が沢山あるが、あれは品種交配によって作り出したもの。世界に20種類ほどある原種のバラの花はいずれも一重で、花弁は5枚のものが多い。日本原産のバラの原種もいくつかあり、代表的なものはノイバラとハマナス。いずれも一重の可憐な花容をしている。(下の写真の左がノイバラ、右がハマナス)

 日本のノイバラは、バラの交配では非常に重要な品種で、世界中で交配されているツルバラのほとんどは、その先祖をたどるとノイバラに行き当たる。うちの庭には、ノイバラとハマナスの他にも何種類か原種のバラがある。いずれも個性的で美しいバラだが、知らない人にはとてもバラには見えないだろう。今月末には咲き始めるので、また写真を載せる予定。

 さて、僕はバラの花よりも新芽やつぼみが好きだと先々週の投稿に書いた。今週はそんなバラの葉っぱについてちょっと紹介しよう。

 どんな植物でも新芽は明るい緑色が圧倒的に多いが、バラの葉っぱには渋い紅色が混じるものが多い。この取り合わせというか色合いがなんとも心地よい。桜の葉っぱもこれに似ている。みんながお花見を楽しんだ後、葉桜になると「これでおしまい」とばかりに誰も振り向かなくなる。しかし僕は、満開の桜が散った後に、緑色にわずかに紅色が混じった葉桜の色合いが大好きだ。

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