2018年6月13日 バラ庭 – 第二弾


 梅雨の晴れ間に一斉に咲きそろったバラ庭。これから7月にかけて、次々に咲いては散って行く様々な品種が楽しめる。バラ作りには、施肥、消毒、剪定などけっこうな手間がかかる。それでも、春になると新芽が吹き出し、そして葉が出そろうとかわいいつぼみが付き、それが一斉に咲き出すという一連の営みは、見ていて飽きることがない。


 モスという系統に属する、デュ・ド・ポール・フォンティンのつぼみ。モスとは苔の意味で、この系統の特徴として、茎やつぼみが苔のような毛で覆われている。そのため、消毒をしなくてもアブラムシなどにたかられることがない。苔の生えたつぼみに、僕は言いしれぬ生命力を感じてしまう。


 デュ・ド・ポール・フォンティンの花はこんな感じ。紫というか、赤黒というか、非常に珍しい花色だ。何となく一年に一度はこの色が見たくなる、不思議な魅力を持ったバラ。


 抱えるように咲き出して最後にはロゼット咲きになる、ピンク・グルス・アン・アーヒェン。どことなく芍薬のような独特の花容でクラシックな趣が気に入っている。


 クライミングティーという系統のソンブレイユ。大輪のクリーム色の花からは、上品な素晴らしい香りが漂う。花びらの数が多く、何年か前の暇なときに数えたら100枚以上あった。


 フロリバンダのダスキー・メイデン。無理に日本語に訳せば「乙女の憂鬱」かな。モダンローズの中にも、数は少ないが一重咲きのバラがある。赤というよりも深紅に近く、花容もスッキリしてとても気に入っている。


 ガリカという系統のデュシェス・ドゥ・モンテベロー。19世紀に作出されたオールドローズで、もちろん一季咲き。名前からして、たぶんモンテベロー伯爵夫人に捧げられたのだろう。オールドローズの中には、王侯貴族に因んだものがかなり沢山ある。


 ハイブリッド・ムスクの、バフビューティー。二度咲きだが、春と秋では色がずいぶん違う。ハイブリッド・ムスクとは、原種のロサ・モスカータと様々なオールドローズとの交配によって作出された系統。ある意味、モダンローズとオールドローズの中間的存在かな。この系統は、寒さに強くて丈夫な上に、花色が微妙で美しい品種が多い。

 ハイブリッド・ムスクのペネロープ。ギリシャ神話に出てくるペネロープは、戦争に出かけて帰ってこない夫のオデュッセウスを20年間も待ち続けた貞淑な女性。その名のとおり清楚な美しさで、春にも秋にもたくさん花を付ける。それにしても、この咲きかけの花色は、杏色というか蜂蜜色というか、見る度にうっとりしてしまう。


 バブルバス(泡風呂)という名前のハイブリッドムスク。扱っている店が少ないので一般にはほとんど見かけることがない珍しいバラ。病気に強く、丈夫で良く咲く。

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 大きくなるランブラー(つるバラ)のポールズヒマラヤンムスク。道路に面したバラ棚の主役となっている。圧倒的な爆発力を誇る、言ってみれば「バラ庭の桜」的な存在かな。もちろん春だけの一季咲きだが、夏は葉が茂って目隠しとなる。散歩でここを通るおばさん達にも人気があり、僕の庭には欠かせない存在だ。

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 トレジャートローブとコンプリカータ。トレジャートローブは、成長の早さでも春の開花の爆発力でも他の追随を許さない。アプリコット色の花も美しいのだが、赤みを帯びた新芽の美しさが抜群で夏には葉が良く茂り、さらに秋にはきれいな実をつける。こんなに一年中楽しめる植物は他にないと思う。まさに「宝の山(treasure trove)」なのだ。

 以上で、今年の春のバラ自慢は終了。最後まで読んでくださった皆様、お疲れさまでした。

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