1984 年 9 月に長野県西部を襲ったマグニチュード 6.8 の大地震。この地震で御嶽山に大規模な山体崩壊が発生した。この時の土石流は時速 80km を超えるスピードで伝上川と濁川を走り下った。それでこの崩壊を「伝上崩れ(でんじょうくずれ)」と呼ぶ。
今回は季節がら、山体崩壊の現場を見る前に最近の御嶽山の紅葉状況が分かる写真をいくつか見ていただこう。標高の高い所ではすでに紅葉が終わっているが、山麓ではまだまだこれから。
山麓の王滝村、三合目付近の様子。道路端にはこんな場所が点在している。
紅葉の清滝。青空にモミジと水しぶきが映える。滝や谷川の周辺では特に紅葉の色が冴えるようだ。
清滝では、天気さえ良ければ毎日のように虹を見ることができる。時間は直射日光が滝に差し込む午前 11 時から午後 3 時前後まで。
七合目の「田の原」にある駐車場からは、少し距離はあるものの崩壊地の様子を見ることができる。しかし今回は、火山マイスターの案内で崩壊現場のすぐ近くまで行って観察するという貴重な機会に恵まれた。通常は一般の立ち入りが禁止されている場所なので、この記事に載せたような光景は見ることができないので、あしからず。
崩壊地に向かう山道でも、鮮やかな紅葉を見ることができた。
しばらく山道を歩くと、突然目の前に広がる崩壊地の光景。
遙か彼方に崩壊した谷間を流れる伝上川が見える。
地震から 36 年経過して、川の周辺では植生がかなり回復しているのが分かる。
崩壊の最上部。この日は雲がかかって先端部は見えず。
すっぱり切れている。崩壊部分は今でも土砂が崩れつつけているのか、植生は全く回復していない。
圧倒的な光景を見ながら、火山マイスターの先生のお話を聞く。この山体崩壊で削り取られた土砂の堆積はなんと 3,400 万立方メートル。家屋被害は、全壊、半壊、一部損壊を含めて 600 件におよぶ。そして、29 名の尊い人命が失われた。