今回のメインテーマであるバラの話を始める前に、5月31日に目撃した御嶽山の冠雪を報告する。上の写真は同僚のスマホで撮ったもの。ちょっと見づらいが、頂上付近が少し白くなっているのが分かるだろうか。たぶん今シーズン最後の降雪になると思う。御嶽山七合目の濁河温泉でも、これから10月の初雪までの数ヶ月間は雪や氷の心配をしなくて済む。
さて、梅雨入りも間近。ぎりぎりセーフで、満開のバラが大雨に打たれて散ってしまうのはなんとか避けられた。木曽地方は標高が750メートルほどあるため、桜をはじめとする花の開花が東京や名古屋より2~3週間も遅い。アジサイしかり、バラしかり。
バラは種類によって大きく開花時期が異なるが、早咲き品種が五月下旬に咲き始め、遅咲き品種は六月半ばになる。バラには、春だけ咲く「一季咲き」の品種と、春から晩秋まで何回も咲く「四季咲き」の品種がある。僕の庭には一季咲きのオールドローズやつるバラが多い。
僕がなぜオールドローズを好むのか。簡単に言うと、バラの花だけではなく、植物としての多様性を楽しみたいから。世界にはバラの原種が20種類ほどあると言われる。自然の中に生えていたこれらの原種バラを、中国やフランス、そして日本でも、人々は昔から様々な交配を試し、栽培し続けてきた。そして今では全世界で4万種類以上が栽培されている。
ここからは僕の個人的見解である。花屋さんで売っているバラは、切り花やブーケ、花輪などに使う目的で品種改良されたものなので、植物としてみた時の面白みに欠けており、「花だけ」の存在なのだ。これらの系統はハイブリッド・ティーやイングリッシュローズと呼ばれ、僕の庭にはほんの数本しかない。
さて、前置きはこれくらいにして、写真を見ていただこう。まずは原種バラをいくつか。
これは日本原産のロサ・ムルティフローラ。いわゆる「ノイバラ(野茨)」である。家の前を流れる木曽川の河原に自生していたものを僕が自分で採取してきて庭に植えたもの。小さくて清楚な花だが、香りが非常に素晴らしい。写真のように房咲きになるため、世界中で多くのバラの交配に使われており、バラ文化の発展に大きく貢献している。
数年前に植えたノイバラだが、今では高さ5メートル以上の大木になっている。
これはロサ・グラウカ。ヨーロッパアルプスの高地が原産地。葉の色が独特で大好きなバラ。秋になると光沢のある鈴のような実を付けるので、日本名は「すずばら」という。
北米原産のロサ・ニティダ。美しい照り葉は、秋になると紅葉する。赤い実も美しく、一年中楽しめる。
日本原産のハマナスとの交配で1983年作出のローテス・メーア。日本では海岸などに群生しているハマナスもバラの一種だ。
これもハマナスとの交配で生まれたゲルベ・ダグマー・ハストラップ。ハマナスの雰囲気が十分に残っており、はかなげなレモンイエローが美しい。
カスピ海沿岸のレッシュという町で発見された謎の多いバラ、ローズ・ド・レッシュ。オールドローズの中でも比較的古いダマスクという系統に属する。ボタン・アイが愛らしい。
これはモダンローズのクイーン・エリザベス。その名の通り、1954年に作出されてイギリスのエリザベス女王に捧げられた名花。大輪の丸弁高芯咲きで花付きが良い。
フロリバンダという系統のモダンローズ、アイスバーグ。美しいカップ咲きで一年中良く咲く。フロリバンダとは「多花」の意味で、ノイバラの房咲き性を受け継いでいる。切り花としても優れており、育てやすくて人気がある。
沢山あって紹介しきれないので、次回のうぃーくりーも「第二弾」としてバラの話題にしようと思う。もう一週間、僕のバラ談義におつきあいを。