2018年1月30日 黒川ダムのカルガモ

 二週間前に紹介した黒川ダムの水鳥。たぶんカルガモだと思ったが、群れまでの距離が遠かったので確信が持てなかった。今日は十数羽の群れが岸近くまで寄って来て、車道から5メートルほどのところで餌をあさっている。クチバシが黄色く、顔にある縞模様の特徴から、間違いなくカルガモだとわかる。

 マガモとカルガモは、遺伝子的にはほとんど差違が無い近縁種。主な違いは、マガモが日本で越冬して北方で繁殖する渡り鳥なのに対して、カルガモは日本で繁殖する留鳥であること。初夏の繁殖期には、母親が雛をたくさんつれて移動する。その様子がかわいらしく、カルガモの行列とかカルガモ親子の引越としてよく話題になる。

 一方、ドナルドダックでおなじみのアヒルは、マガモを人間が家畜化した家禽なのでDNAが全く同じ。そして、アヒルとカルガモの間にはしばしば交雑が起きるというかなりこんがらかった話。人を恐れないカルガモが多いのは、アヒルの血が混ざっているからかもしれない。

 さらに、元々は別種であるマガモとカルガモの間にも交雑が起きることがあり、見かけからはどちらか分からないような固体もあちこちで確認されている。僕が見る限り、黒川ダムのカルガモは純粋種に近いようだ。でもここまで考えると、「種」とか「純粋」という言葉の意味もだんだん曖昧になってきた。

 マガモのようにオスの方が派手な色をしているわけではないので、カルガモの雄と雌はけっこう見分けるのが難しい。下の写真では、右側の個体が頭部や尾羽の色がやや濃いのでオスだと分かる。

 進化の過程で、一度は異なる種に分岐したものが、同じ環境に住んでいるうちに交雑し、交雑した個体も繁殖能力を持つ場合がある。これはもしかすると、人間がアヒルを作り出したことが原因なのかもしれない。それとも全く自然な現象なのか。だとすると、マガモとカルガモが生物学的に分岐した原因が分からなくなる。うーん、ますますこんがらかってきたぞ・・・。

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