木曽に住む人ならほぼ誰でも知っている人物と言えば木曽義仲(源義仲)だ。この木曽義仲、歴史上の人物としては最も人気がない部類に属していて、一方めちゃくちゃ人気のある義経の完全な引き立て役。NHK の大河ドラマで主役になることは99%ない。でも絶対にないかというと、将来的にはその可能性は僅かだがある。あのぉ~、どなたか従来とは違う義仲像を打ち出した新説を発表してください、お願いします。
さて、今回取り上げる巴御前(トモエゴゼン)は義仲の奥方であったとされる女性。上の写真は義仲館という木曽町の歴史資料館の入口に立っている義仲と巴御前の銅像だ。現代風写実的でなかなか立派。
巴御前のアップ。女ながら武術に長けていたと言われ、凜々しい顔立ち。特に弓の腕前は一級品だったらしく、実際に馬に乗って戦に加わったという。色白ですごい美人だったという噂だが、なにぶん大昔のことなので真相は不明。しかしそんな美人が味方にいたら、木曽のおじさん達からなる軍勢の士気も大いに上がったに違いない。
これが巴御前が泳いでいたという巴が渕。立て看板には、『絶世の美女巴は、ここで水浴をし、また泳いでは武技を練ったと云う。そのつややかな黒髪のしたたりと、乙女の白い肌元には、義仲への恋慕の情がひたに燃えていた』と記されている。えーと、作り話感満載なんですけど・・・。
謡曲『巴』のストーリーを簡単にまとめた立て札。悲しい話だったことは間違いない。巴御前と義仲については、僕もいずれエッセイを書こうと構想を練っている。しかし、このくらい昔の人になると、信憑性の高い資料が非常に少ない。巴御前に至ってはその実在すら疑われているほど。それだけ「思いつきで勝手なことを書ける」対象でもあるわけ。
さて、星のおじさんがブログで巴御前を取り上げたのにはもう一つ理由がある。木曽(木曽郡上松町)には東京大学木曽観測所があって、そこには口径105センチの大きなシュミット望遠鏡がある。そしてこの観測所に、巴御前がいるのだ。・・・といっても女性インストラクターではない。
新開発の超広視野カメラがシュミット望遠鏡に取り付けられていて、その名称がなんとTomo-e Gozen(トモエゴゼン)。木曽観測所のホームページによると:
「トモエゴゼンは105cmシュミット望遠鏡との組み合わせにより、動画観測において国内最高感度の広視野観測を実現します。従って、2012 TC4のような空を高速で駆け抜ける微弱な天体を捉えるのに最適な観測装置と言えます。」とのこと。
超広視野カメラ「Tomo-e Gozen」の見た目はこんな感じ。色白美人のイメージではないが、めっちゃカッコイイ。名付けた理由は、巴御前が「日本史上最強女子であり、しかも90歳を超える長命だった」から。東京大学木曽観測所は一般公開されており、四月からは予約なしで誰でも見学することができる。近いうちに「星空&宇宙」のコーナーで観測所の様子をお伝えする予定。