これまでぼくは、御嶽山への古い登山道はスキー場の造成ですっかり破壊されてしまったのだと思い込んでいた。2020 年 7 月の記事 – 「 御嶽古道を歩く Part 2」にも「御嶽古道歩きを楽しめるのはこの八海山神社まで・・・」と書いている。
ところが、どうやら「古い登山道を歩きたい」という人々の要望がかなり多いらしく、スキーゲレンデと車道で寸断されていた登山道が、見事に復活していることを知った。そこで今回は、歩きやすく整備された登山道を通って八海山から「田の原」まで歩いてみた。
眼病が治ると評判の「八海山神社」。拝殿の裏手に「御神水」が供給されていて、自由に汲むことができる。本来は目につけると効くのだが、飲用も可能らしい。
スキー学校のゲレンデ側に「御嶽古道」の道標が見えている。登山道はここから始まる。
登山道は尾根に沿っているので、必然的にスキーコースに沿うように上っている。この写真では、一旦右方向に出て、そこから左にターンして頂上へと向かう。ゲレンデ部分は木がないので、登山道は明るくて眺めが良い。
所々に「登山道」と表記されたかわいい標識があって迷うことはない。標識は最近付けられたものだ。
「中小屋跡」という標識あり。道幅が少し広くなっていて、おそらくここに休憩のための小屋があったのだろう。近くに霊神碑が数個残されている。奥の方には燈籠も見えている。燈籠の屋根の部分も、地面に落下したまま放置されている。
「頂上まで五五00米」と書かれた石標を発見。今回見たのはこれ一個のみ。他の石標は埋もれてしまったのだろう。
ところどころで深いヤブを通過する。切り開くにはかなりの労力を要したに違いない。作業してくれた人たちに感謝。
こんな風にスキーリフトの脇を通過する場所もある。
きれいに草が刈ってある。この状態を維持するには、年に数回の草刈りが必要になるだろう。登山者の数が増えれば、草も伸びることがなく道もさらに歩きやすくなる。
振り返ると、中央アルプスの絶景。正面に木曽駒ヶ岳が見える。スキー場なのでコース全体を通して景色を眺めることができる。雄大な景色を楽しみながら登れるのがこのコースの大きなメリット。
しだいに三笠山が近づいてきた。
三笠山分岐に到着。ここから田の原までは少し下りになる。
三笠山は原生林に覆われていて、天気の良い日でも薄暗い。今回はスルーしたが、三笠山の頂上広場には三笠山神社がある。神社の近くにある池は、古い火山の火口だと言われている。登山者が「田の原」の駐車場まで来てそのまま御嶽の頂上に向かうため、わざわざ三笠山を訪れる人は少なく、いつも静かで薄気味が悪いほどだ。
広々とした「田の原」は木道が整備された湿原になっており、こんな池塘(ちとう)も見られる。
財運の御利益がある「田の原大黒天」。大きな五円玉が目印。
田野原周辺には、三笠山や遙拝所など見どころが多いので、時間をかけてゆっくり訪れたい。現在は「ビジタセンター」の建設工事が進行中。これが完成すると、かなり魅力的な観光スポットになると思われる。