義仲館がリニューアルオープン!

 7月4日、木曽町の宮ノ越地区にある「義仲館(よしなかやかた)」がリニューアルオープンした。新しい義仲館は、絵画や文献などを展示して史実に基づいたアプローチを行う一般的なミュージアムとは一線を画している。

 全国あちこちに残された義仲と巴御前にかかわる「伝承」をメインに据え、そうした伝承からインスピレーションを得たアーチストの作品が展示の中心となっているのだ。これらの展示からどのようなイメージを描き出すのか。それは訪れる人の感性に任されている。

 ぼくらの世代では、木曽義仲と聞いて最初に思い浮かぶのが「倶利伽羅峠(くりからとうげ)」の戦いだ。従来型のミュージアムなら、牛の角に火をつけて平家軍に攻めかかる勇壮な戦いの絵図を展示しないことはまず考えられないが、そうした戦闘シーンの絵図は、新しい義仲館では見られない。

 木曽義仲は今から約 850 年も前の平安末期に活躍した人物なので、義仲に関する一次資料はほとんど残っていない。だからその実像を明らかにするのはほぼ不可能だと言える。したがってこれまでの義仲公と巴御前の人物像は、ほぼ『平家物語』と『源平盛衰記』の記述だけを頼りに形作られていた。二人の容貌は、ほぼ作り手の想像に任されているのだ。

 伝承に興味がある拝観者にはタッチパネルが用意されていて、地図上のポイントを指で触れるとそこに伝わっている伝承が表示される。またアート作品などの展示物にはそれぞれ QR コードが付いていて、タブレットやスマートフォンを使うと詳しい情報を見ることができるようになっている。

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