木曽の古刹 – 須原宿「定勝寺」(Joshoji-Temple in Kiso)

 中山道を京方から須原宿に入ると、右手の山を背景にゆったりと鎮座するのが木曽路最古の名刹として名高い定勝寺(じょうしょうじ)だ。木曽義仲の子孫である木曽氏は、木曽家豊の代になって、美濃方面に睨みをきかすべく須原(すはら)に居館を構えていた。定勝寺はその当時(室町時代中期)に創建された。山を背負いながら街道に向かって石段を延ばす堂々とした佇まい。春には桜、秋にはモミジと四季を通じて景観が楽しめる。

 石段の下から山門を見あげたところ。石段も山門も木立に囲まれて薄暗く、別世界への入口といった雰囲気。

 上の写真の山門と、本堂、庫裏が近世初期の禅宗寺院の規模を示すものとして国の重要文化財に指定されている。中世における木曽の文化を象徴する貴重な文化財だ。現在の建物は、慶長三(1598)年に再建されたもの。

 檜皮葺きの山門をくぐると、左手に本堂と庫裏の建物が見える。別棟にある受付で入館料を払ってから、ウグイス張りの廊下を通って庫裏の建物に入ってみる。庫裏は切り妻造りで、前面は白壁と木組みが見える特徴的な建物。中に入るとそこは土間と囲炉裏のある板の間になっており、天井はなく梁組がそのまま見える。寺というよりも豪商あるいは武家屋敷といった感じのがっしりとした造りだ。

 目を引くのが布袋様(ほていさま)の木像群。この寺は、木曽七福神の中でも「布袋尊霊場」となっているようだ。お腹の出た大小様々な布袋様の木像がたくさん置いてある。

 入母屋造りの本堂は、禅宗寺院でよく見られる「方丈形式」となっている。壁はなく、間仕切りはすべて襖の引き戸になっていて、庭に面した引き戸も障子張りとなっている。障子を開けると、禅寺らしい端正で落ち着いた庭がある。

 本堂でひときわ目立つのは、総檜造りの「定勝だるま」座像だ。座禅を組みながら天井に届かんばかりの大きさは圧巻。昭和四十一年の作とかなり新しいが、造った仏師は「定朝三十八代」とのこと。

 鐘楼へ上る階段から庫裏の方を振り返る。この日は時折雨が降る天気だったが、しっとりと落ち着いた雰囲気を楽しんだ。

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