水月湖の奇跡 – その4(行ってきました!)

 ようやく訪れた水月湖訪問の機会。二日間で得た雑然とした印象やじんわりとした感動を整理して文章にまとめるのには、少し時間がかかりそうだ。とりあえず今回は、自分の目で見た水月湖の姿と周辺環境を手短に表現してみようと思う。

 この日、実際は水月湖を見る前に三方湖畔の年縞博物館を訪れたのだが、こちらは次回以降の記事でゆっくり触れることにして、まずは水月湖の第一印象を伝えたい。

 はやる思いを抑えながら、三方五湖の縁を回る周回道路をゆっくりとドライブ。三方湖と水月湖は、ほんの 50 メートル程度に見える細い水路でつながっている。小さな岬を回り込むと、会いたかった水月湖の姿が眼前に・・・。
 岸近くに、年縞のボーリングに使用した掘削装置が係留してある。

 「なんてとろ~りとした湖なんだ!」。実際に水質がどうなのかは分からないが、水面はどこまでも穏やかでさざ波もごくわずか。水の色は水彩絵の具を溶かしたような青緑色で、やや濁っており、透明度は低い。魚がはねる音も「パシャ」ではなく「とっぷん」という感じ。

 「湖底に数万年分の年縞が埋まっているんだ」という僕の思い入れは、確かに強すぎるのかもしれない。でもそうした予備知識が全然なかったとしても、やっぱりその辺によくあるダム湖などとは雰囲気がまるで違う。悠久の年月を経てきた独特の趣があり、まさに「眠っている湖」という印象だ。

 三方五湖のうち、若狭湾とつながった海水湖である日向湖(ひるがこ)を除く四つの湖を、レインボーラインと呼ばれる有料道路から撮影したのが下の写真。
 まず、中央に大きく見えているのが水月湖、その水月湖とつながって、上に小さく見えているのが菅湖(すがこ)、水月湖の左上にちょこっと見えているのが久々子湖(くぐしこ)、同じく右上に少しだけ見えているのが三方湖だ。

 画面の上半分は低い山並みというか丘陵地帯になっている。湖や住宅地のある手前の平野部と、奥に見える山並みとは、色がくっきりと分かれているのが分かるだろうか。この境界辺りに国道 27 号線が走っていて、それにほぼ沿うかたちで「三方断層帯」が横一直線(南北方向)に走っている。

 水月湖のある手前の平野部は、この断層帯に沿って(平均すると 1000 年間に 0.8m ずつ)奥に見える山地の下に滑り込んでいる(逆断層)。そのため水月湖の湖底は毎年少しずつ沈下し、湖底の酸欠状態が数万年にわたって続いているために規則正しい年縞ができた。その年縞により、水月湖は『時を刻む湖』として世界標準になった。

 この日は、水月湖畔にある「湖上館パムコ」に一泊した。翌朝、眼が覚めると湖面が一瞬だけ朝焼けに染まった。宿の若いご主人によると、満月の晩には昇ってくる月が湖面に映ってそれはそれは幻想的な光景になるらしい。それが「水月湖」という名前の由来だという。

 三方五湖周辺には数十軒の旅館や民宿があるが、客室から目の前に水月湖が見える宿は二軒だけ。選択肢が少ないので迷うこともない。この宿にはカヤック付きの宿泊プランもあり、未確認だが写真に写っているボートに乗って釣りができるかもしれない。

 さらに水月湖畔の(車では通れない)サイクリングロードを一周したい人には、パワーアシスト付きの自転車も貸してくれる。今回の第一回訪問では時間的余裕がなかったが、次に訪れるときには絶対にレンタサイクルで湖畔を一周し、さらにボートで湖の真ん中まで漕ぎ出してみたい。

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