十一月・十二の星空

 飛騨頂上や摩利支天山にはうっすらと積雪が見られるが、濁河温泉は11月初旬でもご覧の通りまだ晩秋の雰囲気だ。暖冬少雪の噂もチラホラ。それでも朝の気温は零度を下回っているので、数日中にはここも一気に冬景色となるかもしれない。
 これからの時期、秋の空がどこまでも青く澄み渡り、天の川も美しく見えるようになる。
 それでは、秋から冬にかけての星空をご案内しよう。

11月の新月:8日

 したがって21時頃に天の川や満天の星空が見られるのは、11月1日~11月11日。

12月の新月:7日

 したがって21時頃に天の川や満天の星空が見られるのは、11月31日~12月11日。

11月から年末にかけての星空

 土星が山陰に姿を隠してしまったので、これからの時期に屋上天文台の星空観察会で見られるのは主として星雲や星団になる。地球に届くまでに何千年もかかる星々のかすかな光を、じっくりと観察したい。

 秋から初冬にかけての見物は、まずペルセウス座二重星団、アンドロメダ銀河、そして日本では「昴」の名前で親しまれているプレアデス星団だ。そして 12 月も下旬になると、南の空高く冬の主役であるオリオン座が昇ってくる。オリオン大星雲(M42)の淡い光芒は、是非望遠鏡で見ておきたい対象だ。

 また、12 月 14 日には「ふたご座流星群」が極大を迎える。15 日には月が上弦となるが、月が沈んだ後にはかなり良い条件で流れ星が見られそう。(空が暗くて条件が整えば)1 時間あたり 40 個ほど見られそうだと国立天文台は予想している。

ふたご座(双子座)


画像クレジット:アストロアーツ

 ふたご座は、星占いでも使われる黄道十二星座のひとつ。並んだ双子の姿を彷彿とさせる均整のとれた星座だ。向かって左側が弟のポルックスで、その頭の位置にあるオレンジ色の一等星もポルックスという名前。右側の星が兄のカストルで、こちらがふたご座のアルファ星だ。α星なのに、なぜかカストルの方が少し暗い。どうやら 300 年程前にこの星座ができた当時は(兄貴の)カストルの方が明るかったのに、300 年間で明るさが逆転したらしい。


画像クレジット:アストロアーツ

 双子の兄弟は天の川に両足を浸している。そしてカストルの足元には M35 という美しい散開星団があり、低倍率の望遠鏡でもたくさんの星が集まっている様子を見ることができる。距離は約 2800 光年。

ペルセウス座二重星団

 月明かりが邪魔にならない晩、ペルセウス座とカシオペア座の中間あたり、天の川の中に肉眼でも見えるのが、ペルセウス座の二重星団だ。冬の間、僕がまず最初に 31 センチ望遠鏡を向けるのがこの星団。見る人のほとんどが「うわぁ、星がいっぱい!」と歓声を上げる。


画像クレジット:アストロアーツ

 ペルセウス座と言わなくても「二重星団」と言えばこの散開星団のことを指す。こんな風に隣接して二ヶ所に星が集まっている散開星団は非常に珍しい。この二重星団、星好きの間では、h‐χ(エイチ カイ)と呼ばれている。星団までの距離は約 7300 光年。紀元前 5300 年と言えば、日本はまだ縄文時代のまっただ中だ。

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