世の中がコロナウィルス一色に染まろうとしている。そんな緊迫感の中で、ぼくはのんびりと中山道歩きを楽しんでいる。そして歩きながら、これも一つの COVID-19 対策であることに気がついてしまった。
COVID-19(2019新型コロナウイルス感染症)は日本でもまさにパンデミックに突入しようとしている。SARS-CoV-2(急性呼吸器疾患コロナウィスル2)という正式名称を持つこのウィルスは、あまりに小さいのでぼくらの目には見えない。見えてくれれば避けられるのに、とにかく見えない。ではどうすればいいのか。
ひたすら家にこもって耐え忍べというのだろうか。しかも桜吹雪の舞う一年でも一番気持ちの良いこの時期に・・・。実はそうではないのだ。もちろん不要不急の外出は避けるべきだが、適度な運動や散歩については、政府も推奨している。
おそらく長丁場になると思われる COVID-19 との闘い。これを勝ち抜くためには、健康の維持とストレス発散は重要な要素。そして中山道ウォーキングは、そうした条件を満たす数少ない選択肢の一つだ。今回ぼくが歩いた20キロで、向こうから歩いてくる人に会ったのはたったの三回。しかもお互いに感染予防を意識しているので、口をきくことは一度もなかった。
中山道を歩くと、その豊かな自然とユニークな歴史、さらには街道に寄り添って暮らす人々の生活に、日本人の原点を見る思いがする。この国に生まれた喜びを肌で感じ、自分も自然の一部であるという実感を強くする。
前置きはさておき、今回の中山道歩きのルートを紹介しよう。緑色の点線が今回歩くルートだ。JR 瑞浪駅から細久手公民館まではタクシーを利用する(3750 円)。地図をクリックするとより大きな画像で見ることができる。
ちなみに歩く距離は、細久手宿から大湫宿までが 6.8km。この区間で美濃路の中山道の最高地点である琵琶峠(標高 558m)を越える。長さが 700 メートルを超える日本最大の石畳が江戸時代のまま保存されている。大湫宿から大井宿(恵那市)までは 13.4km。二つの区間を合わせるとほぼ 20km になる。昼食などの休憩を含めると、7 時間くらい見ておいた方が良いだろう。
これでは長すぎて「歩く自信がない」という場合は、途中の「深萱立場」から JR 武並駅に向かう短縮コースもある。これだと距離も 15km ほど。時間も 5 時間あれば十分だろう。
細久手宿を出ると、中山道はしばらくなだらかな尾根道を東へと進む。あたりの雑木林が途切れるところで、なんと木曽御嶽山がみえる。この方角からの御嶽山は、長野県からはなかなか見られない。五年前の噴火口から噴煙が上り、山肌が大きく崩れているのがよく分かる。
気持ちの良い桜並木を進む。
桜の花散る弁財天の池。弁天池とも呼ぶ。五月にはカキツバタの群生が見られると言うが、今回は水面に浮かぶ桜の花びらが見事だった。
ここからの中山道ルートについては昨年秋の記事を参照
中山道:細久手宿から大湫宿まで(Nakasendo Walking – Hosokute to Ookute)
中山道:大湫宿から大井宿まで(Nakasendo Walking – Ookute to Ooi post town)
2020 年 4 月現在、マスコミは朝から晩までコロナウィルスの話題一色だ。世界中がビビりまくっている。見えない敵に対して恐怖感を抱くのは、おそらく正しい行動なのだろう。しかしここで冷静になって、自然の中を歩きながら、ゆっくり考えてみる時間も必要なのだ。
ウィルスはとても小さい。しかもその構造は非常に単純で、平たくいえば小さな袋の中に遺伝子情報だけが収納されている。他の生物の体内に入らなければ自ら繁殖もできないような、つまり生物とも呼べないようなやつらに、ぼくら人類は翻弄されている。しかし忘れてならないのは、ぼくらも自然の一部であり、ウィルスもまた自然の一部であるということ。
都市部への人口集中。貧富の格差の拡大。COVID-19 は、こうした諸問題に改めて気づかせてくれる。もちろん医療面でのウィルス対策は必要不可欠なのだが、ウィルスに負けない社会造りについても考えてみるべきではないだろうか。
最後に今回の美濃路中山道歩きのハイライトを、フォトギャラリーにまとめてみた。琵琶峠と十三峠を通して歩くこのコースは、本当におすすめ。
琵琶峠・十三峠フォトギャラリー
次回からは木曽路ウォーキングのおすすめコースを紹介する。乞うご期待。