御嶽古道 Part 3 の今回は、オリジナルの御嶽古道にこだわらず、周辺の自然を縦横無尽に歩き回る一日コースとして、二つの滝巡りを含む周遊トレイルを紹介する。全体の高低差は 310 メートル、昼食を含めて約 5 時間で歩ける究極のお楽しみウォーキングトレイルだ。
まず序盤の大又三社 ① から花戸普寬堂 ② までは、登山道としての御嶽古道の雰囲気を楽しみながら時間をかけて登る。まず大又三社の長い階段からスタートして、標高差約 150 メートルのコースを約 50 分で歩く。花戸普寬堂を過ぎたところまでが御嶽古道だ。
花戸普寬堂 ② を出るとしばらく古道を外れて体験の森 ③ の遊歩道を歩き、スキー場の分岐 ④ を経て銀河村キャンプ場 ⑤ に出る。ここが今回のトレイルの最高地点(1410m)となる。晴れていれば御嶽山が良く見える。ここから白樺林を下って十二権現まで。所要時間は約 2 時間。十二権現 ⑥ で昼食をとるのがお勧めだ。
そして終盤の十二権現から新滝と清滝を巡るコースでは、十二権現から新滝 ⑦ と清滝 ⑧ を見ながらアップダウンの激しい山道を歩く。二つの豪快な滝だけでなく、鬱蒼としたヒノキの森など御嶽山麓の自然を心ゆくまで味わうことができる。
大又三社から花戸普寬堂 – 御嶽古道三合目から四合目
大又三社の遠景。背後にそびえる三角形の岩山が大又三社そのものだ。
入口はあまり目立たない。大又山荘のすぐ脇に見える霊神碑群が目印だ。
入口には御嶽古道の標柱がある。長い階段も古道の一部なのだ。御嶽を象徴する岩山の頂上まで、まっすぐに階段が続いている。
実際の御嶽山を頂上まで登れない信者でも、この大又三社に参拝することで頂上登拝をしたことになる。関東一円の広範囲で布教を行い、多くの人に木曽御嶽の素晴らしさを伝えた普寬行者らしいアイデアだと思う。
ヒノキやサワラが階段の両脇に林立する。383 段もある長い階段なので、慌てずにゆっくり登りたい。中には根元の直径が 1 メートルほどのヒノキもあり、なかなか見応えがある。
中間にもう一つ鳥居があるが、残っているのは柱のみ。
この分岐で古道は右折する。頂上で参拝を済ませたら、ここまで戻って古道を進む。
御嶽三大神。中央に立つのが御嶽山座王大権現、向かって右が八海山提頭羅神王、左側が三笠山刀利天宮だ。背後に見える巨大な岩は本当に御嶽山のようだ。
分岐に戻り、標識にしたがって十二権現方面へ向かって気持ちの良い古道を歩く。
しばらく行くとこんな三叉路に出る。そのまま「清滝、十二権現」方面へ進む。
古道が車道と接近する場所。
ヒノキやサワラの大木。
木曽古道の道標がある分岐。左の道を直進する。
この分岐も、清滝の方ではなく「十二権現」に向かって左折しよう。
分岐を通過してしばらく歩くと見えてくる切り立った岩壁。道はここから九十九折りとなってかなりきつい登りになる。
立派な木橋がかかっている。
道は堰堤を越えて登って行く。
花戸普寬堂(はなとふかんどう)に到着。ここは四ヶ所ある普寬行者の墓所の一つで、御嶽開山の際に案内役を務めた木屋吉右エ門が建立した。吉右エ門はその後も普寬行者と行動を共にし、自身も「吉神行者」となっている。
年代不明(おそらく二百年前)の看板。「開闢普寬本堂」と読める。この花戸普寬堂は現在、吉右エ門の子孫である小谷家が管理している。現在見られる形の御嶽信仰の始祖ともいえる普寬行者ゆかりの場所だ。御嶽古道をたどるのはここまで。これからしばらくは森の中の遊歩道を歩く。
花戸普寬堂からキャンプ場を経て十二権現まで – 明るい遊歩道を歩く
普寬堂を通過すると間もなくこの分岐に出会う。砂利道の車道が右斜め方向に進む。森の中に霊神碑の見える道が本来の御嶽古道。今回はウォーキングを楽しむコースなので、ここで左折して「体験の森」の方向に進もう。
よく整備された明るいトレイルが続く。
東屋。この辺りは「野鳥の森」とも呼ばれている。この日は、8月だというのにウグイスが盛んに啼いていた。
分岐の案内板。こうした分岐が三箇所ほどあるが、右に折れると車道に出てしまうので、いつも左側の道を直進しよう。
林が終わって、明るいスキーゲレンデの跡地に出る。この分岐で初めて右折して下り坂を進む。左の道はスキー場に沿って登る尾根道だ。
しばらく原っぱを進む。
カワラナデシコ(河原撫子)。
涸れた沢を渡る。
古道の標識がある階段の入口。これを登ると「銀河村キャンプ場」に出る。
案内板が見えたらキャンプ場だ。
広々としたキャンプ場からは御嶽が良く見える。このコースの最高地点だ。管理棟に併設したトイレも借りられる。
管理棟とトイレの建物。ここでしばらく休憩しよう。
さあ出発だ。広場の外れにあるこの標識にしたがって、林の中の道を下る。
明るい白樺林が続く。
ここで車道に出る。
車道を横断してすぐに、また林の道に入る。
太いシラカバのそばに東屋が。
急な木の階段を下って川を渡る。
清流には岩魚。
「十二権現」の案内板が見えたら、この分岐を左折する。
すぐに車道に出る。左方向に下ると、100メートルも行かずに十二権現に到着。
10人くらい楽に休憩可能な東屋とトイレがある。ここで昼食。
車道から見える十二権現の鳥居。
「御嶽山十二大権現(略称:十二権現)」の社殿。
十二権現から新滝と清滝を巡る – 神秘の滝を楽しむ
昼食が済んだら、このコースのハイライトである滝巡りに出発だ。車道を下って行くと、こんな標識が見える。ガードレールと標識の間にある細道を進む。
この辺りには栗の巨木がたくさん見られる。
かなり急な木の階段。
標識に沿って進むとこんな分岐に出る。「新滝」方面に進む。ここからは急な下りになる。
新滝で滝行をする人のための宿泊施設。
新滝の滝壺。まだ梅雨が明けたばかりで、いつもより水量が多い。滝の裏側に回ることもできる。
新滝を後にして下って行くと、こんな木橋を渡る。
しばらく行くと分岐があるので、右手に見える道を上って行こう。
標識にしたがって「清滝」方面に進む。この辺りまで来ると、清滝の水音がはっきり聞こえてくる。
石畳になっているところは、雨が降ると滑るので要注意だ。
九十九折りになった急な階段をどんどん下る。
遂に清滝に到着。
大雨の後なので、清滝の水量もかなりすごい。
車道までの下りは木の階段になる。
ヤマアジサイの白い花が満開。
滝の入口にも「御嶽古道」の標識がある。
清滝の説明板。氷瀑のすごい写真が載っている。