2017年12月19日 濁河温泉に行ってみる

 チャオ御岳スノーリゾートを通過し、曲がりくねった山道を6キロほど進むと下呂温泉方面からの県道441号線と合流する。ここを右折すると小坂町を経て下呂温泉に抜けるが、濁河温泉を目指して直進。

 交差点から左手を見ると、旧濁河スキー場越しに御嶽山が見える。木曽から見る御嶽山とは趣が全く異なり、とても同じ山とは思えない。ここまで来ると、濁河温泉はすぐ目と鼻の先だ。初めてくる方のために一応確認しておくと、濁河は「にごりご」と読む。予備知識のない人なら「にごりがわ」読むのが普通だろう。ところがここには、濁河川(にごりごがわ)という川が流れているのだ。今週の「うぃーくりー」では、この濁河川を紹介する。

 その前にまず、濁河温泉の入口にある看板だ。この昭和の雰囲気たっぷりの看板を見ながら、車を右折させてしまう人が少なからずいる。すると数分でトレーニングセンターに出てしまう。直進路がちょっと狭くて上り坂なので、何となく道なりに右折したい気持ちは分かる。でも看板の指示通りに矢印の方向に直進しよう。

 急勾配で曲がりのきつい山道を数百メートル登ると、濁河温泉の旅館街に出る。道路の右側には、ちょっと場違いなほど大きな6階建ての「旅館御岳」が見え、左には現在休業中の喫茶店「湯来里(ゆらり)」が見える。ここから登山口まで数百メートルの間に、下呂市営の日帰り温泉施設と5軒の温泉宿が並んでいる。

 ではさっそく、僕の職場である旅館御岳のお風呂を覗いてみよう。

 男性浴場と、それに付属する露天風呂。旅館が大きい割には小さな風呂だな、と思うかもしれないが、源泉掛け流しの浴槽としては適切なサイズだ。これ以上大きくなると、温泉の鮮度と適温を維持するのが難しくなる。大規模温泉施設や大きなホテルの風呂は素晴らしく広いが、あれは加温循環しているからだ。循環されて塩素で消毒されたお湯は、たとえ温泉と謳っていても、もはや温泉の価値を持たない。

 崖に設けられた160段の階段を下りて、谷底の渓谷露天風呂へ向かう。谷底に見えるのが、濁河温泉の名前の由来となっている濁河川だ。上流のどこかで河岸から温泉成分が流れ込むため、青白く濁っているのが分かる。

 下りて行く階段と通路はつららによって氷の回廊となっている。足もとには、凍結防止のために温泉がかけ流されている。長靴を履いてひたすら谷底を目指す。

 渓谷露天風呂に到着。特に冬季は、雪と氷に囲まれて何とも言えない雰囲気だ。

 ドバドバとかけ流される温泉。湯船のお湯は、日によって微妙に色を変える。茶色に濁る日もあれば、黄色がかった透明になったり、青白く見えたり緑色に濁って見える日もある。かすかな硫黄臭、鉄のような金属臭。なめてみると微妙な塩味がある。

 湯に浸かりながら目を閉じて深呼吸すると、皮膚から温泉成分がじんわりと体にしみこむのを感じる。手前味噌ながら、さすがに日本十名湯に数えられるだけのことはある。山奥まで来て初めて味わうことができる地球の恵みだ。

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