3月の新月:7日
したがって21時頃に天の川や満天の星空が見られるのは、3月2日~3月12日ごろ。
4月の新月:5日
したがって21時頃に天の川や満天の星空が見られるのは、4月1日~4月11日ごろ。
今年の春は、木星がへびつかい座にいて夜半過ぎにならないと見えない。したがって、夜 9 時の星空観察会には目玉となる惑星がないので、月が明るくない晩には、オリオン大星雲などの星雲や星団などが観望の対象となる。
さて、地上に春が来るように、東の空には春の星座が次々と昇ってくる。まず最初に「かに座」、そして“?(はてな)”マークを裏返しにしたような「獅子の大鎌」がそれに続く。この大鎌が、乙女座と並んで春の星座を代表する「しし座」だ。星の配列からその姿を捉えやすい星座の代表でもある。たてがみを振り立てて昇ってくるライオンの姿がしっかりイメージできる。
このしし座のライオンは、ギリシャのペロポネソス半島にある「ネメアの谷」で、ヘラクレスに殺された化けライオンの姿だ。弓矢が全く効かない鋼鉄のような皮膚を持ったライオンだったが、ヘラクレスはまずライオンを棍棒で殴りつけておいてから、その首を三日間も締め続けて窒息死させたという。
ヘラクレスは、この画像のように頭にライオンの首をかぶった姿で描かれることが多いが、これはネメアの谷で殺したライオンの首だ。ライオンの首をヘルメット代わりにして、大きく開けたライオンの口から顔を出しているなんて、超マッチョというか究極の勇者の姿だな。
九つの頭を持つ水ヘビの「ヒュドラー」を退治するヘラクレスを描いたギリシャの切手。この時もヘラクレスは、頭にライオンの首をかぶり、体にはライオンの毛皮をまとっている。ちなみに、星座の「ヘラクレス座」は夏の星座なので、今の時期は明け方まで見られない。
ところで、ギリシャ神話が書かれた頃のギリシャに、本当にライオンがいたのだろうか。調べてみると、ヨーロッパライオン、という動物が本当にいたらしい。紀元 200 年頃までに絶滅したと言われているが、紀元 1000 年頃の目撃情報もあり、はっきりしたことは分からない。「絶滅!」と聞くと、ぼくはガゼン興味が湧いてくる。動物が絶滅する原因は、大きく分けて三つある。一、環境の変化。二、ライバルとの競争に敗れる。三、人間に滅ぼされる。ヨーロッパライオンの場合、絶滅の原因は明らかに人間だ。
スペインからギリシャにかけてのヨーロッパ南部では、ライオンが森林地帯にけっこうたくさん生息していたらしいが、大型草食動物がこの地域から消えたことと、さらに人間による乱獲がたたって、絶滅してしまった。
ローマ帝国のあちこちに建設されたコロシアム(円形闘技場)で、ライオンは他の猛獣や武器を持った剣闘士と戦わされた。大きな娯楽イベントがあると、数千頭の猛獣と数百人の剣闘士が命を落としたと言われる。おそらく多くのライオンが捕獲され、コロシアムに連れてこられていたのだろう。「百獣の王」であるライオンは見栄えがするので、さぞ人気も高かったことだろう。