2018年6月26日 木曽町の崖家造り

 濁河温泉から見る御嶽山の残雪。残りわずかなので、七月上旬には消えるだろう。残雪を何かの形(種まき爺さんとか)に見なすのは昔から良く行われているのだが、今年の残雪、「向かい合う猪と狼」に見えないだろうか。

 その残雪のすぐ下に、飛騨頂上へ向かってトラバースしている登山道が見える。2014年の噴火以来、最高峰の剣が峰(3067m)付近は規制区域になっていて行くことができない。その結果と言っては語弊があるが、濁河温泉を通過する小坂口からの御嶽登山が脚光を浴びている。

 木曽側で最もポピュラーな登山口である王滝口に比べると距離はやや長いが、勾配がなだらかで岩場もほとんどなく、初心者でもハイキング気分で登ることができる。飛騨頂上には五の池山荘があり、休憩や宿泊が可能だ。しかも五の池小屋を拠点にして四の池、三の池、継子岳、摩利支天山などを巡るコースをゆっくり楽しむことができる。

 ここで突然、御嶽山麓から木曽町へひとっ飛び。今回のメインテーマは、木曽町の木曽川沿いに見られる崖家(がけや)造りだ。

 河岸にせり出す形で建てられた民家群がこの規模で現存するのは、岐阜県の郡上市や群馬県の下仁田町にあるだけだという。昔はこの風景を水彩画に描いている旅行者をよく見かけたものだ。最近では足湯などもできたりして、まあ、木曽町では一、二を争う人気スポットだ。

 それにしても、この角度から見るとほとんど「ハウルの動く城」状態。川の上にせりだした様子はかなりの迫力だ。明治になってから本町通りに面した商店や旅館がスペースを確保するために床を木曽川の方に拡張したもので、もちろん現行の建築基準法には適合していない。

 写真の向かって右側が崖家造りの裏側になる。木曽町で一番の繁華街である「本町通り」の風景。ほとんどが商店で小さな旅館も何軒かある。道路と木曽川の間のわずか3メートル幅ほどの切り立った崖スペースに、床下に支えをした店が軒を並べているのだ。福島宿では中山道を通す場所が河岸しかなかったので、その道の両側に店や旅館を作ったのだ。

 写真の向かって左側も背後には崖が迫っており、その崖を穿って商店が並んでいる。以前このコーナーで紹介した「御嶽もなか」を作っているお菓子屋さんの「田ぐち」もそうした店の一つ(上の写真の中央付近)。もちろんお店の裏はすぐ崖である。

コメント

  1. […]  「行人橋歩道橋」から木曽川下流方向を見る。見えているのは車両用の行人橋だ。左側に見えるのが木曽町の観光スポットにもなっている「 崖家造り 」の家屋群だ。車道が整備される前は、日本中から訪れて木曽福島駅で下車した人々が、この崖家造りの家並みを見ながら御嶽登山道をたどったことだろう。ちなみに、大雨で木曽川が増水すると、しばしば NHK ニュースでこの場所が中継される。 […]

  2. […]  「 崖家造り 」の家並みが正面に見える、三十三観音堂。 […]

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