ベテルギウスの減光が止まらない – いよいよ超新星爆発か! Betelgeuse is close to supernova explosion – Are we ready for it?

 オリオン座の α 星であるベテルギウスの異常な減光が続いている。ベテルギウスの現在の光度は 1.54 等、つまり一等星の範囲を外れて二等星になってしまった(星の見かけ上の明るさで「一等星」の定義は 0.5~1.5 等級ということになっている)。ちなみに、数字が大きくなるほど星は暗くなる。

 これが何を意味するのか? 最近公表された ESO(ヨーロッパ南天天文台)の超巨大望遠鏡による最新画像を見たぼくは一瞬、(大袈裟ではなく)心臓が凍り付きそうになった。今でも見る度にドキドキする。実にショッキングな画像だ。


画像クレジット:ESO、ベテルギウスの最新画像

上の画像が掲載されている記事:
ベテルギウスの形状に変化が!ESO超巨大望遠鏡による最新画像

 そもそも、恒星が丸く写っている画像など、ぼくが生きている間に見られるとは思っていなかったのだ。「恒星はあまりに遠いのでどんなに大きな望遠鏡を使っても点像としてしか見ることができない」というのがぼくが教わってきた常識なのに・・・。しかもその星がブクブクにふくらんで、今にも壊れそう。

 全天には一等星と呼ばれる特に明るい恒星が 21 個ある。良く知られている七夕の織姫星(ベガ)や彦星(アルタイル)もこれに含まれ、中でも一番明るいのが、冬の寒空に青白く輝くおおいぬ座のシリウスだ。大まかな話、青白い星は若い星、赤っぽい星は年老いた星。ベテルギウスは、蠍座のアンタレスや牡牛座のアルデバランなどと並んで赤っぽい星の代表だ。

あぁ 砕け散るさだめの星たちよ

 以前、上の記事でも紹介したように、星には我々人間と同様、寿命がある。ベテルギウスは、まさにその最期の時を迎えようとしている超巨大なモンスターなのだ。ちなみに、上の一部がふくらんだミカンのような姿で写っているベテルギウスを太陽系の中心に持ってくると、地球どころか木星の軌道まですっぽり呑み込んでしまうほどの大きさ。

屋上テラスの天文台

 さて昨年の冬には、こんな風に「星のおじさん」として、「生きているうちに大爆発が見られるといいですね」などと言いながら毎晩ベテルギウスの解説をしていたぼくなのだが、正直なところそれほど終末(超新星爆発)が近いとは思っていなかった。

超新星爆発は近いのか(今から10万年以内に!)

 この記事などを読んでも、天文学者たちは「現在から10万年後までのいつか・・・」というような暢気な話をしているが、果たしてそうだろうか。

 もしベテルギウスが超新星爆発を起こすと、640 光年というその近さとものすごい大きさから計算して、満月に近い明るさで何ヶ月も輝き続けるだろうと言われている。もちろん昼間でも見えるし、冬の夜空の光景は一変するに違いない。

 しかしそんなことが問題なのではない。星の一生が終わる最後の瞬間を観察することによって、宇宙に様々な元素が生まれ、それを材料としてまた星が生まれ、そのまわりに惑星系ができるというサイクルを理解する上で、ものすごく貴重な研究材料となる。

 世界中の天文学者、物理学者たちは、その瞬間を絶対に見逃したくないはず。でももし、来週に突然それが起きてしまったら、観測の準備はできているのだろうか? 決定的に重要な最初の一瞬を、見逃すことなく観測できるようなシステムが整っているのだろうか? かなり疑問だ。

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